最近、日本でも Basenji の飼育者が増える傾向にあるようですが、反面、十分な情報提供を伴わない供給と、物珍しさ本意の需要の mismatch によって、
このたび、当サイトをお訪ねいただいた機会に、
「可哀相な Basenji 」をつくりださないための"Basenji一家"からのお願いを聞いてください。
その1.:スキンシップ (あなたになついていますか?)
手足や顔を舐めに寄ってきたり、耳を伏せて細かに尾を振りながら寄ってきたり、身を預けるようにもたれかかったり、腰を摺り寄せてきたり、おずおずと寄ってきて手足や顔の匂いを嗅いだり、手足を胸の下に抱え込んだり、仰向けになって撫でてもらいたがったり、”遊ぼうよポーズ”でクルクル回ったり、そっと後ろから忍び寄ってきて突然とびついて前歯でお尻を一噛みして逃げて行ってしまったり・・・Basenji がとるこれらの態度が、あなたになついているあかしです。
あなたの Basenji にこのような行動が乏しい場合は、まだ少し「可哀相な Basenji」ですから、普段あなたが家の中にいるときは、できる限りゲージから出し、リードを外して自由にあなたについて歩き回れる時間を増やしてやってください。
そして、ときには同じ目線になるように寝転がって、手足や顔を舐めさせたり、いっしょに遊んだり、からだを撫で回してやるなどしてスキンシップに努めていただくようにお願いします。
数日ごとの定期的なブラッシングは、あなたと Basenji との心の絆の補強に最適です。
その2.:トレーニング (過度のトレーニング(躾)を強要していませんか?)
Basenji をリードに繋いだり、ゲージの中に閉じ込めるのはもちろん、不必要で過度のトレーニングや躾の強要は、あなたとの心の絆の醸成を妨げるばかりでなく、むしろかえって不信感や反抗心を募らせ、やがて昂じると、あなたに対して心を閉じてしまうばかりでなく粗暴な態度を示すようになり、「可哀相な Basenji」になってしまう惧れがあります。
必要最低限の服従訓練(待て、座れ/臥せ)とトイレの躾以外の、過度のトレーニングや躾を Basenji に強いることは差し控えるようにお願いします。
リードでの散歩で、 Basenji が右往左往したり強く引っ張るときは、リードを首輪や胴輪から50センチほどにしぼって保持することで、そのような動きを押さえることができます。
あの、凛々しくも雄々しい野性と気高さを失った Basenji を、あなたは好きですか?
その3.:ヘルスケアー (あなたの Basenji は健康ですか?)
あなたの Basenji は、いつも暖かくして過ごしていますか? そして、晴れた日には日向ぼっこができますか?
Basenji の屋外飼育は論外ですが、屋内飼育であっても、秋から春にかけての暖房・保温や散歩時の防寒にはとりわけ配慮が必要で、注意を怠るととたちまち下痢を起こして痩せてしまいます。
夏は夏で、エアコン冷気からの避難場所の用意や、日没後の散歩で肉球の火傷や熱アレルギーを防ぐなどと云ったきめ細かい気配りをしてやる必要があります。
とりわけゲージ飼いやリードに係留している場合、あなたのBasenji は 自分で移動して避難することができませんから、より一層気を遣ってゲージやリードの置場所を考えてやっていただくようにお願いします。
また、皮膚がデリケートな Basenji には、菌類感染や寄生虫から皮膚を護る努力も怠るわけにはいきません。
若い Basenji は股関節が固まっていないため、人為的に無理な運動を強いると股関節脱臼を起こすこともあります。
常日頃、排泄行動、排泄物、皮膚の状態や四肢の動きなどに注意をはらい、不健康で「可哀相な Basenji」をつくらないようにお気遣いいただきますようにお願いします。
Basenji は、物珍しいだけではなく、表面的にもあきらかに他の犬種にはない Basenji 固有の魅力的な特徴(吠えない、犬臭が少ない、毛の汚れが少ないなど)を持ち合わせています。
その反面、体質的に日本では、耐寒性が劣るため屋外飼育が困難であるのみならず、屋内にあっても、思いのほか防寒・防暑対策が必要になる点や、消化器・泌尿器・皮膚系が極めて虚弱 なので、常日頃の健康面へのケアーを欠くと「可哀相な Basenji 」 をつくることになります。
また、性格的には、毎日の接し方によっては、例えば、ゲージやリードによる長時間の閉塞・束縛や、不適切な過度の躾などによる抑圧 などが原因となって、時に粗暴な気性を現すようになったり、ヒトに対して心を閉じた「可哀相な Basenji」をつくる惧れもあります。
一方、普段でも悪戯好きで、部屋中を散らかしたり傷だらけにすることや、散歩の最中でも、気を許すと自動車に飛び掛かって行こうとするなど、共に生活した経験のある者でなくてはわからない、ヒトと共棲していくうえでは、なかなか難しい側面も併せ持っています。
これから Basenji の飼育をお考えのあなたは、Basenji の持つ 魅力的な特徴に目を奪われるだけではなく、Basenji が併せ持つ、これらの難しい側面を十分にご認識くださるようにお願いします。
あなたが、Basenji の飼育を始めてしまってから、思い違いに気付いたのでは遅いのです!
Basenji は、日本の自然・社会環境のもとで一人で生きていくことはできません。
あなたが、 飼育を途中放棄するとき、あなたの Basenji を確実に至る”死”に追いやることになるのです。
あなたが、Basenji の持つ難しい側面を十分にご認識いただき、そのうえで「可哀相な Basenji 」をつくらないことへの自信と勇気をお持ちになれたとき、初めてあなたは、真の Basenji オーナーへの道に一歩踏みだすことになるのです。
その1.:
マーケッティングの原則に、供給者の需要者に対する、製品に関するあらゆる情報の提供とアフターケアーと云うことがあります。
PL 法やリサイクル法のように法制化されているところもあって、現代のビジネスには、製品特性やメンテナンス、事故防止に関するきめ細かな情報提供とアフターケアー、そして不具合品の回収などの対応が不可欠です。
これら原則は、Basenji の生産・供給に携わるブリーダーさんにも当てはまるのではないでしょうか?
そこでお願いですが、Basenji を販売する際には、Basenji について,お持ちになっているあらゆる情報を購入者に提供してください。
そして、その後の定期的なフォローのご配慮もお願いします。
ご提供いただく情報には、Basenji に関する参考書、飼育経験者、インターネット・ホームページ、更には Basenji に詳しい獣医さんのリストなども加えていただければ好都合です。
その2.:
Basenji は繁殖力が低く、ビジネスとしての生産性はかなり劣るうえに、日常の維持管理費用も、一般の犬種に比べると格段に高くつく反面、需要が極めて限られていることから、 Basenji のブリーディングは、採算のとれるアイテムではありません。
つきましては、Basenji のブリーディングは、十分な情報提供のうえの発注を受けてから行っていただき、出産までの間は、発注者をしばしば犬舎に招くなどして、Basenji 飼育の現実を体験学習してもらってください。
その3.:
いま、日本にいる繁殖用 Basenji のコロニーは、きわめて限られていますから、注意を怠ると近親交配に陥り勝ちですし、遺伝疾患など遺伝性の不良形質を保有する系統があることも知られています。
Basenji のブリーダーさんの間で情報交換に努めていただき、重ならない血統の組合わせや、共同しての新しい血統の導入、遺伝疾患系統との交配の回避などへのご配慮をお願いします。
その4.:
すでに海外では実行されているようですが、遺伝病など遺伝性の不良形質を保有する子犬を販売する際には、当代かぎりで繁殖ができないことの納得を得たうえで、あらかじめ不妊処置を施すなどして、遺伝性不良形質保有系統の繁殖・拡散防止のご配慮をお願いします。
”あなたが手がけた Basenji 達が、「可哀相な basenji」にならないように、よろしくご協力ください 。”