4.1 装甲車輌 − 戦場の猛獣たち

 SP2は陸戦全般を扱うものの基本的に戦車戦のゲームです。彼らは戦場でおそらくもっとも強力な存在で砂漠のように開けた土地では単独ですべての敵を相手取ることすらできます。しかし戦場はそれだけではありません。森の中や都市においては歩兵の支援無しにはただの標的に成り下がりもします。従って戦車をどう使うか、どう仕留めるかが勝負の分かれ目となります。
分類こそ装甲車輌としましたがここでは直接射撃兵器を搭載した戦闘車輌を実際の装甲には頓着せずに扱います。つまり戦車とそれに対抗する車輌全般です。従って前面にたった1の装甲しか持たない無反動砲搭載ジープから動く核シェルターと言うべき最新の戦車までがここに入りますが自走榴弾砲のような車輌は砲兵の頁で扱います。

4.1.1 主力戦車

 ここでは大口径戦車砲の攻撃に耐える装甲を持ち、自らも同様の攻撃手段を持つ戦闘車輌を主力戦車(MBT, Main Battle Tank)と呼びます。湾岸戦争で名を馳せたM1 Abramsや陸上自衛隊では90式戦車などがここに入ります。これこそがSP2というゲームの目的であり主役となるユニットです。しかしこれらのユニットも決して無敵ではありません。主な敵は航空機及び主力戦車ですが、至近距離に潜り込まれると歩兵によってあっけないぐらい簡単に撃破されますし、迫撃砲の一撃でキャタピラを破壊されただけで無力な鉄の箱と化します。また時代によっては対戦車ミサイルも手強い敵になります。戦車をうまく活用するために必要なことは彼我の技術レベルを認識することと他の兵種、特に歩兵との協調を崩さないことです。
 第2次大戦戦後の戦車は大体3世代に分類されます。
 第1世代は対戦車ミサイルが登場するまでに開発された戦車たちで、基本的に第2次大戦中の戦車の拡大強化型と考えて差し支えありません。この時代はある意味戦車の黄金時代です。ある程度の距離を取れば戦車の敵は戦車しかいません。至近距離での攻防ではあっけなく敵の歩兵ユニットにやられることが多いので砲兵による事前制圧を徹底するかこちらも歩兵を前衛に置いて敵歩兵の接近を防ぐしかありません。自衛隊では61式が登場時期はやや遅いもののこれに該当します。
 第2世代は対戦車ミサイルの台頭及び戦車砲の強化(105mmクラス)によりとにかく命中=撃破と考えられた時代です。この頃の戦車はまず当てられないことを考えていて装甲はさほど厚くないものの移動速度が向上しているものが多くなっています。Leopard 1等がこの世代に分類されます。とにかく先に命中させることが最優先課題で、移動の際には煙幕をうまく活用して敵の攻撃を避けるとともに全力移動で敵の命中率を低下させます。(あまり効果無いですけど (^^;)
 第3世代はChallenger 1やLeopard 2で幕を開けた複合装甲を持った動く核シェルター達です。対戦車ミサイルに対しては少なくとも正面からはほぼ無敵を誇ります。この世代で問題なのは西側の車輌だけ熱線映像装置を装備して(Vision値が40を超えている)煙幕越しの射撃が可能になっていることです。これはゲームバランスを著しく西側優位にしてしまいました。(v1.1でロシア側にもわずかですがこういった車輌が登場します)戦車砲も120mmクラスとなり、破壊力が格段に向上している上に射撃統制装置の向上(FC値の向上)により初弾命中率が極端に跳ね上がったこともあり、動いたら負けに近い状況になりつつあります。ただし車輌間の情報共有のための電子機器を装備して俗に第3.5世代と呼ばれる一部の戦車(Leopard2A5等)はその装甲もさらに強化されているためほとんど無敵モードと化しています。一方、西側のこの世代の戦車は戦車砲に榴弾(HE)を持たないものが多いので歩兵相手の戦闘は以前にもまして不利になっています。

4.1.2 対戦車車輌

 50年代初期には第2次大戦当時の砲搭載対戦車車輌がいくつか登場します。これはアメリカ流の軽装甲高機動型とソビエト流の重装甲型に大別できます。その後西ドイツとビエト(及びその衛星国)を除き現在ではジープ搭載無反動砲程度開発されておらず見ることができません。(自衛隊の60式自走無反動砲は数少ない例外です) 現代の対戦車車輌は対戦車ミサイルを武器として、それ以外には機関銃すら持たないものが少なくありません。これらの車輌はターン当たりの射撃回数は少ないですが、対戦車ミサイルは射程距離と命中率に優れ、その欠点を補っています。
 SP2ではこの種の車輌の特徴である、潜望鏡等の監視手段を用いた完全な隠蔽や発射機と射手の分離といった生残性向上手段がまったく取り入れられていないため攻撃を行うためにはこれらの車輌は相手から丸見えの位置に放り出されることになります。このためゲーム開始後の寿命は大して長くありません。BMPやM2 Bradley等のIFVに搭載されているものは除き落ち穂拾い用に1個小隊も編成してあれば充分でしょう。 (Visionが40以上あって煙幕を無視できるとなお良い) 対戦車ミサイルは一般に防御用に使用されることが多いですが、後で述べるように目標との最適距離を維持することが大事な上に長距離でも命中率が高いので攻勢シナリオにおいて主力部隊が前進している間の援護部隊として運用すると意外と効果的です。

4.1.3 偵察車輌

 いいかげんなようですがここでは上の二つの分類から外れたすべての装甲車輌を扱います。ここには武装ジープ、装輪装甲車、軽戦車、歩兵を降ろした後の歩兵戦闘車や兵員輸送車までを含み、共通項は装甲が薄いか、無いに等しいという点です。また最近の対戦車車輌と違って歩兵に対してなんらかの攻撃力を持っており、程度の差こそあれ歩兵陣地に対する攻撃を支援する能力を持ちます。しかし中には中口径の砲や対戦車ミサイルを持ち、他の車輌、時には主力戦車さえ、撃破できるものもいますが基本的に彼らの武装は自衛のためのものであり、正面切った戦闘を行うには装甲が薄すぎます。戦うときも自分と同等以下の武装しか持たないユニットを中心に弱いものいじめを行い、敵わないときはさっさと逃げ出す、昔の巡洋戦艦のような戦いかたをするべきです。(つまり、鳥無き里の蝙蝠を気取るわけです (^^;)
 これらの車輌の主な役目は本隊が移動する際の露払いであり、少数を前方に置いて本隊が待ち伏せを受けないようにします。このような運用方法から攻勢シナリオでの使用が中心で、守勢シナリオでは高速を生かした後方撹乱(ヘリコプターを除き通常この種の車輌がもっとも高速に移動できます)または前衛斥候(通常は歩兵部隊の方が視界が広いし、購入しやすい)として使う程度でしょう。いずれにせよあまり生残性が高いとは言えないので、消耗品と割り切って中途半端に武装した高コストユニットは編成に加えない方が良いでしょう。 もちろん先に述べたとおり敵に主力戦車が存在しない場合または無視できる場合には軽戦車は安い主力戦車として便利使いできます。例えば50年代初期、朝鮮半島などでは足の速いM24/M41はM26等に比較しても有効です。

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