4.2 歩兵 − 戦場の主

 SP2は基本的に戦車戦のゲームです。塹壕にこもった歩兵ですら簡単に全滅してしまう所など、歩兵の戦いは必ずしも正確に再現されていません。しかし守勢にまわった場合や市街戦や森が多い地形での戦いでは歩兵は実に有用な存在となります。

 SP2もv1.1のパッチでこのあたりが改善されてきたことになってます。実感できるほどプレイしてませんが塹壕にこもった歩兵はそれなりに打たれ強くなり、逆にむき出しの歩兵は脆くなってきているようです。

 歩兵の有用性は主として車輌ユニットに比べてはるかに良く相手を見つけることができるという点にあります。例えばユニットが丘を越えたときに戦車ユニットは歩兵ユニットなら見つけることのできるすぐ近くにいる敵ユニットに気が付かないということがあります。徒歩歩兵(Foot Infantry)はSP2における主たる偵察ユニットです。たとえ臨機射撃を受けることになってもそれは敵が身近にいることを示してくれます。ですから丘を越える場合や障害物の多い地形ではまず徒歩歩兵を前進させます。守勢に回ったときは車輌ユニットの近辺に歩兵ユニットを置いて周辺を警戒させます。開けた地形であれば車輌の前方に、込み入った地形であれば車輌のすぐ脇に歩兵ユニットを配置するとよいでしょう。

 以上のようにもっとも有効な偵察ユニットはヘリコプターを除けばAPCに乗った歩兵ユニットです。3名ほどの偵察班(Scout Section)でも構いません。APCの移動距離が十分に短ければ降車した歩兵ユニットは1乃至2MP程度の移動力が残っています。丘の稜線の手前でAPCを止めて降車した歩兵ユニットで丘を越えます。もし臨機射撃を受けたら丘の影に控えたAPCからLキーを用いて歩兵ユニットを回収することができます。

 歩兵ユニットはきわめて脆弱な一方で1、2回の攻撃を受けただけではその能力を失いません。それに対して車輌ユニットへの一撃は移動不能になるなどの致命的な結果を生みます。敵の存在が予想される地域では極力移動速度を歩兵のそれにあわせて歩兵と車輌ユニットで相互支援できるようにするべきです。

 また大集団で運用されると徒歩歩兵は非常に強力です。3個中隊からなる1個歩兵大隊は装甲車輌を中心とした同等の購入ポイントの部隊が守る拠点を比較的簡単に簡単に強襲し、占領することができます。このような徒歩歩兵の大群編成はAIが50年代や60年代の西欧諸国を担当する際の部隊編成に良く見られますが、AI側の編成としてはAPCに乗った歩兵を中心とした機械化歩兵よりも手強い相手になります。

 機械化歩兵が弱いのはSP2のユニットの発見に関するルールが大きな原因です。歩兵を乗せたAPCが相手に発見されている場合(車輌は敵視界内で移動していればかなりの遠距離からでも見つかります)、降車した歩兵は距離に関係なく自動的に発見されます。さらに一度発見されたユニットはどれだけ移動しようと視界から外れるまで発見された状態が続きます。AI側の機械化歩兵はAIが適当と判断した地点で降車しますが、この際上記のルールを特に考慮していないのでプレイヤーの視界内で降車することが多く、位置を暴露してしまいます。プレイヤーが機械化歩兵(別にAPCに乗った対戦車班でも機関銃班でも構いませんが)を運用する場合は丘の影や森の裏等相手の視界の外で降車させ、1ヘクスずつ移動して配置に付けるようにするべきです。

 相手の視界の外で降車するのは発見を避ける以外にも理由があります。降車直後の歩兵ユニットは密集しているということで攻撃を受けた際に損害が大きくなり易いのです。さらに降車後は可能な限りAPCと歩兵を別のヘクスに置くべきです。これは発見されやすいAPCが攻撃された際に歩兵ユニットが巻き添えで損害を被る可能性を無くすためです。また1ヘクスづつ移動させるのはSP2では歩兵は高速に移動するほど発見されやすく、攻撃されたときに大きな被害を被るからです。可能であれば複数の歩兵ユニットを交互に移動させ、半分は移動中のユニットを援護できる体制に置くのが望ましいでしょう。

 以上はAPC等からの降車の話を別として徒歩歩兵の話でした。歩兵はトラック、APC、MICV、ヘリコプター、そして一部の戦車に乗って移動することができます。

 まずトラックは前線では何の役にも立ちません。彼らは戦場の後方で砲兵ユニットを移動させるのが唯一の仕事です。後方から前線まで歩兵ユニットを移動することも可能ですが、その間一切相手に発見されないようにしなくてはならずSP2では非現実的なオプションです。

 ヘリコプターは一言で言えば空飛ぶトラックです。空中機動歩兵は相手の対空砲火が微弱な場合(最初から少ないか、他の戦力を使用して少なくするかということです)のみ活用できます。ある程度の対空砲火の元での空中機動歩兵の寿命は無視できるほど短いものです。しかし、対空砲火を制圧できるか、迂回することができれば彼らは非常に有効に使えます。そのためには相手から攻撃を受ける危険性の無い着陸地点へ攻撃を受けることなく到達できるような地形の研究・選択が必須となります。DelayまたはMeeting Engagementでは開始早々に前方に歩兵を展開し、前衛として要地を確保し、相手の進撃を遅らせたり、主力が到着するまで占拠し続けます。攻勢をとる場合は機動予備として取り置いて、前線で手いっぱいになった相手の後方の要地を確保するためなどに使用します。ほとんどの場合歩兵ユニットが展開を終えた輸送ヘリコプターは安全な地域に移動するのが最善ですが、武装していれば支援火力として活用することもできます。特にソビエト軍の輸送ヘリコプターのように大量のロケット弾を搭載している場合は輸送ヘリコプター自体が有効な戦力になるでしょう。

 APCとMICVは似て非なるものです。APCは基本的に小火器や砲撃の弾片程度を防げる装甲を持ち機関銃で武装したトラックです。多くのAPCは20mm程度の機関砲を持ち、軽装甲車輌(つまり他のAPC)なら撃破することができます。一方MICVはより厚い装甲を持ち、対戦車ミサイルや大口径の機関砲や砲(BMP-1等)までも搭載した車輌です。これらの重武装はより重装甲の戦車であっても撃破することを可能にしますし、その装甲はAPC程度であれば反撃の危険性を無視して行動できます。実際のMICVでは車体各所にガンポートがあって歩兵は車内から戦闘できます。(あまり効果はないとされてますが、それと最近はできましたの方が正しいかもしれない)しかしSP2ではそのようなことはできないので歩兵を運ぶという機能に関してAPCとMICVに差はありません。ここではAPCとMICVをひとまとめに装甲兵車と呼びます。

 歩兵にとって装甲兵車のもたらす最大の福音は機動力と小火器や間接砲撃に対する安全性です。一方で装甲兵車はどれほど重装甲なものであれ、対戦車兵器に対しては無力です。そのため装甲兵車はそのまま歩兵ユニットの棺桶になり得ます。敵がそれなりの対戦車火力を持っていると思われるときは歩兵は降車させておいた方が良いでしょう。装甲兵車に関してもヘリコプターと同様のことが言えます。移動は相手の対戦車兵器を避け、降車は周辺に敵が一切いない場合のみ行うべきです。装甲兵車はスモークディスチャージャーを装備していることがあるので敵が熱線映像装置を持っていない場合は降車時に視線を遮るのに使用できます。

 守勢の際は装甲兵車はその機動力を生かした遅延戦闘に使用できます。防御拠点に向かってきた敵ユニットを歩兵ユニットで攻撃し、敵がその防御拠点を攻撃しようと兵力をまとめたところで装甲兵車で後方の次の防御拠点へ移動します。(この際間接砲撃の目標をそれまで守っていた防御拠点にあわせておくと面白いでしょう)MICVの火力はこのような戦闘において有効に使用できます。反撃されたらすぐに地形の後に隠れて別のところから攻撃を繰り返すという敵にとっては迷惑極まりない行動を取ります。APCは歩兵が守る防御拠点かそのすぐ後ろあたりで敵から見えない辺りに布陣し、歩兵ユニットが後退してきたら乗車させて後方へ移動することに専念します。決して敵の対戦車火力にさらすべきではありませんし、その火力は極限状態における自衛火力以外に使うべきではありません。

 MICVを攻勢に使う場合、MICVが攻撃を行う前にできるだけ歩兵は降車させておきましょう。SP2においては技術格差がある場合(夜間におけるVisionの値の差など)は別として相手を見ることができるユニットは相手からも見られています。対戦車ミサイルを発射したMICVが反撃されないと期待するのは虫が好すぎます。

 戦車や一部の装甲車、自走砲は装甲兵車と同様に歩兵ユニットを乗せて移動することができます。このときSP2ではSP1と同様に歩兵は戦車の「中」にいるものとして扱われ、その装甲の恩恵を受けることができます。(実際に中に歩兵を乗せることができるのってメルカバぐらいですけどね)つまりたいていの場合、戦車は最良の装甲兵車であると言えます。

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