最初に依頼された原稿。初めてのプレイヤーがSteel Panthersに対して少しでも取っ付きにくさを感じないようになればという趣旨で書いたつもりです。(97/11/26)

SteelPantersタクティカルレクチャー
ベストパフォーマンス部隊を編成する

「SteelPanters」(SSI)(以下 SP)はWW2の戦術級陸戦のベストウォーゲームだ。このゲームの醍醐味は自分で編成した部隊とともに長いWW2を戦い抜くキャンペーンにある。編成する部隊は,キャンペーンの間継続して指揮する「コア」部隊と作戦ごとに編成される「サポート」部隊に分けられる。最初のコア部隊編成がキャンペーンの勝敗に大きく影響するのだが,白紙の状態から編成するので陸上作戦の知識がないプレイヤーが最初につまづいてしまうところでもある。今回はSPにおけるベスト編成を国別に考察してみよう。

第1段階:歩兵兵種と練度決定

 キャンペーンを開始すると,一番最初に使用する歩兵の種類を決定しなければならない。歩兵は Foot, Motorized, Mechanized の中から選択することになるが,ここで選んだ種類は作戦ごとに編成されるサポート部隊の歩兵にも適用されるのでキャンペーンの流れに大きな影響を及ぼす。Footのメリットは購入ポイントが安いことだ。Motorizedでは歩兵部隊にトラックが付属するがトラックは平地における移動能力が歩兵より1ヘクス大きい程度なのであまりメリットはない。Mechanizedでは装甲兵員輸送車が付属するので,歩兵部隊の移動能力は戦車以上になり,搭載火器が歩兵の攻撃力を倍加してくれる。問題は購入ポイントがFootの倍以上で装甲兵員輸送車に乗車中の歩兵は戦えないということだ。必然的に購入できるユニット数は減り,降車展開中の歩兵は装甲兵員輸送車の防御力をあてにできない。Footを選んでユニット数を揃えるか,Mechanizedを選んで少数精鋭で戦うかは単純に好みの問題なのでどちらがいいとはいえない。ただ,Footが運用形態が単純だけに初心者向けといえるだろう。  最初の画面でもう一つ決めなくてはならないのは部隊の経験値だ。注意してほしいのは,ここで指定する経験値とは,国ごと,時代ごとの相対的なもので,ゲーム中のユニットのレベル表示とは直接は関係ないことだ。例えば'39年の時点ではドイツ軍でGreenを選択しても,ソ連軍でVeteranを選択するよりも高い経験値を持つ可能性が高い。ここでVetranを選ぶと,当然戦闘は有利になるが同時に部隊編成に使えるポイントも減少する。反面,経験の少ない部隊をたくさん揃えても,損害を多く受け,戦闘終了後の再編成で補充だけでポイントを消費してしまい,新しい装備に更新できないこともありえる。キャンペーンでは練度が高ければ有利になるわけでないので注意が必要だ。  この設定が終ると,肝心のコア部隊編成画面に移る。SteelPantersでは24ユニットという制限内で自由に編成を選択できる。極端な話,すべてを戦車で揃えてもいいし,対戦車砲だけの部隊を作ることも可能だ。しかし,キャンペーンではさまざまな状況に遭遇するので,特化したユニットだけで編成すると,サポート部隊で選択できるユニットに制限がでるだろう。また,戦車に限らず大量の購入ポイントが必要なユニットだけでコア部隊を編成すると,大損害を被ったときの修理更新フェーズで損害を回復できず,戦力不足のまま次の戦いに臨んでしまう怖れもある。バランスのとれた編成を考えるのがキャンペーンを戦い抜くポイントだ。  コア部隊の編成ドクトリンは,大まかに分けて二つの考え方がある。一つは第二次大戦当時の中隊編成を基に編成する考えだ。この場合,歩兵1個中隊(1個中隊は3-4小隊で編成)を中核に攻撃力を強化するために工兵分隊や戦車小隊,迫撃砲,対戦車砲を少々追加するのが基本となる。しかし当時の編成を一つ一つ説明していると本が何冊も書けてしまうのでここではシンガポール作戦で使われた日本軍の編成を紹介するのにとどめておこう。もう一つは史実は無視して勝つために必要な部隊で編成する考え方だ。この場合,戦車の割合が多くなり,歩兵もライフル歩兵ではなく工兵を中心に選ぶことになるだろう。もちろんこれらはどちらが正しいということはない。ユーザーがSteelPanthersでなにをしたいのかによるだろう。戦史の追体験やIFを試したいなら史実に則した編成をすべきだし,対人戦などゲームとして勝ち負けを重視するなら後者の考えで編成をすべきだ。

第2段階:国別コアベスト編成

 コア部隊編成のヒントと国別の典型的な初期編成と年代経過による更新ユニットの方針について紹介しよう。

ドイツ:'39年9月開戦当時 ソ連:'39年12月ソ・フィン戦勃発当時 イギリス:'40年4月ドイツ軍フランス侵攻時 アメリカ(陸軍):ノルマンディ上陸作戦時 アメリカ(海兵隊): 日本:'41年12月太平洋戦争開戦時 以上,ベスト編成について解説してきたがこれは筆者の個人的見解である。作戦には個性があり今回記事で紹介した編成/戦術も筆者の個性が反映されている。この記事を読んで「いや,もっといいやり方がある」という読者はぜひ編集部まで知らせてほしい。反響次第ではSteelPanthersが再び取上げられたときに集められた各戦術を検討してみたい。

SteelPanthers タクティカルTips

いかに強力な部隊を編成しても,ただ目標に向かって進むだけでは大損害を被る。逆に弱体な部隊でも戦術次第で強大な相手に勝つこともできる。「柔よく剛を制す」Tipsを紹介しよう

日本軍の史実編成の例

時期:December 1941 (マレー半島 41/12/8)
地域:East Asia
部隊:佐伯挺進隊(第5捜索連隊)

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