これはSteel Panthers IIIの発売を前に配布されたデモ版のレビュー記事です。ゲームそのものもこのページを作っている時点で(97/11/26)すでに秋葉原では見掛けるようになりました。

Steel Panthers III デモレビュー

 Steel Panthers III Brigade Command:1939-1999はその名の通りSteel PanthersとSteel Panthers IIのゲームスケールを大きくして第2次大戦から現代に至る戦場において、これまで最大でも中隊から大隊レベルの戦い(人数にして千人程度)しかプレイできなかったものを旅団レベルの戦い(数千人規模)をプレイできるようにしたゲームです。
 見た目の一番大きな違いはマップがSP/SP2の1ヘクス50mから200mへ、ユニットの単位が1台・分隊単位から小隊単位へ拡大されたことでしょう。従って扱う戦力の規模が大きくなったとはいえユニット数は増えていないので大きなシナリオでもSP2のような面倒くささはありません。ルール上は増援と撤退、ユニットの体勢(stance)、コマンドポイントによる指揮能力の表現が加わりました。
 増援はゲーム中シナリオで決められたターンになるとマップの端の特定のヘクスにユニットが登場し、プレイヤーの指揮下に入ります。SP/SP2ではすべての地上ユニットは最初からマップ上に登場していたことと比べるとゲームの展開に幅ができてくるといえるでしょう。ユニットのマップ外への撤退はSP/SP2ではマップの端であればどこからでもできましたがSP3では前もって決められたヘクスからしかできなくなりました。これにより、ところ構わずマップ外へ脱出するユニットというおかしな状況やカミカゼ紛いの行動ができなくなりました。
 ユニットの体勢はユニットが移動するか(advance)その場で戦うか(defend)といった区別をするものです。defendを採用すると動けない代わりに自動的に塹壕を掘って敵の攻撃を防ぎやすくします。SPでは塹壕はゲーム開始時にあるか無いかが決まっていてゲーム中に好きなところに掘るという事ができませんでしたから陣地変更などを可能にするこのルールの追加でより流動的な展開が期待できます。
 コマンドポイントは指揮官が指揮下の部隊に下すことができる命令の数をあらわしたもので、間接砲撃の要請やユニットの独立行動等を命じる度に消費して行きます。コマンドポイントはターン開始時に指揮官の能力に応じて(国や時期による修正などもありますし、乱数要素もあります)与えられますが、ある程度は溜めておくこともできるので能力の低い指揮官でも準備に時間を掛けて複雑な行動を起こすこともできます。またコマンドポイントを使用するためには指揮ユニット(ユニット番号が0で終わるユニット)と指揮されるユニットとの間に直接または無線機による連絡が成立していなくてはなりません。無線を装備していない小部隊をバラバラに運用することの難しさや初期のソ連軍の硬直した戦闘指揮などが実感できます。
 このようにSP3は個々の兵器の性能に重点を置いたSP/SP2を部隊の指揮運用という面に重点をおいて発展させたゲームです。新たな要素が加わって、この成功したシリーズがどのように変わっていくか、戦術級ウォーゲーマーにとっては発売が待たれるゲームです。

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