2.サイフォンを使ってサイクロン式抽出をする
サイフォンの器具をそのまま使ってサイクロン式抽出をすることができます。ただし、計量カップと小さめのフォークが必要です。この方法はサイフォン本来の抽出手順とは全く異なりますので、すべて自分の責任で行っていただく必要があります。計量カップは抽出に際して、予め湯の量を測るのに使い、フォークはロートのパッキンとフラスコの間に水蒸気を逃がすすきまをつくるのに使います。手順に従えば2倍の濃さのコーヒーができます。 ただし、1人前のコーヒー粉では困難で最低2人前以上のコーヒー粉が必要です。焙煎はエスプレッソ用の深煎りがよく、粉砕はドリップ用の中挽きより細かい中細挽きにします。
抽出手順の詳細は次頁以降に説明しますが、概略次のような手順です。
1)ヤカンに湯を沸かす
2)フラスコに少量の湯を入れる
3)ロートにコーヒー粉を入れる
4)蒸らし用の湯を計量して、ロート内のコーヒー粉に注ぐ
5)ロートをフラスコに差す。このときパッキンにフォークを添わせる
6)熱源に点火しフラスコの湯を沸騰させる
7)抽出湯を計量してカップにいれる
8)熱源を止め、吸引が始まったら抽出用の湯を注ぐ
9)フラスコにコーヒー抽出液ができる
以下に、各手順を詳しく記述します。
1)やかんに湯を沸かして、沸騰したら熱源を止めておきます。
2)20ccの湯をフラスコに入れます。
3)ロートをフラスコ立てに立て、中細挽きのコーヒー粉をロートに入れます。 ロートをゆすってコーヒー粉が全体に均等になるようにします。
4)表1を参照して、コーヒー粉人数分に合う蒸らし湯を計量カップに入れ、ロートの上からお湯を少しずつたらして全体にむらなく行き渡るように注ぎます。
表1 基本抽出湯量表
5)蒸らし湯を全て注ぎ終わったら、ロートをフラスコに差込みます。そのとき小さめのフォークをパッキンとフラスコの間に挟みます。(フォークの先のカーブが下向きになるようにしますとうまく入ります)
6)熱源に点火したら1〜2分程度そのままにします。
フラスコの中の湯が沸騰してフォークをさした隙間から湯気が吹き出していることを確認します。
[注意!ここで空焚きになるほど時間をあけてはいけません。もしも空焚きになってしまったら熱源を止めそのまま完全に冷まして最初からやりなおしてください。]
7)表1を参照して、コーヒー粉人数分に合う抽出湯を計量カップに入れます。
8)熱源を消し、フォークをはずしてロートをフラスコにしっかりはめます。
まもなく吸引が始まりますので、抽出湯を注ぎます。湯を全体に行き渡るようにしながら全部注いでしまいます。
細かに泡立ちながら濃いコーヒーが抽出されていきます。
9)抽出液が降りきりましたらロート部分をはずします。
フラスコに濃いコーヒーができていますので、湯で倍にうすめていただきます。これが、サイフォンをそのままつかったサイクロン式の基本抽出法です。
湯量は、豆の種類、倍鮮度、粉砕度、湯の温度によって変わりますので表1の値は目安です。また、個人的な好みによりうすめ具合も変わりますので、それぞれの好みで調整してください。
注意していただきたいのは、より濃いコーヒーをつくろうと手順2)で、フラスコに入れる初湯の量を減らしてしまうことです。
これは空焚にとなりやすく注湯の段階でフラスコが壊れてしまうことになります。
万一空焚きの状態になりましたら、注湯はせずに手順の最初からやり直してください。
サイクロン式の基本抽出は2倍濃さの抽出をするもので、そのための湯量表が表1ですが、注湯量を変えれば3倍あるいはそれ以上の濃さの濃縮コーヒーを作ることが出来ます。後に詳しく説明いたしますが、ここで言う濃縮コーヒーとは単に濃度が高いコーヒーということではなく、それをうすめて通常の濃さに戻した場合量的にも戻るものを言います。