8.注湯量表の作り方

 注湯量表2は、私が普段よく使用するコーヒー粉で試行錯誤の結果得た表ですが、コーヒー豆、焙煎度、粉砕度が異なれば表の値はおのずと変わります。また、表2にある倍数と異なる値の抽出をしたいときも注湯量は計算して求めることが出来ます。ここでは値の求め方を述べます。その求め方に従えば、コーヒー粉にあった計算式が得られますので、それをもちいれば特定のコーヒー粉にあった注湯量表をつくることができます。

 

濃縮コーヒー最低注湯量の計算式4)は次のものでした。

4)       c   n・(Q+P/m)−a+b

まず、右辺の記号のQ、P、aおよびbの値を知る必要があります。以下にそれぞれの値の求め方を述べます。

 

 コーヒー1杯の量Pを私は130ccとしていますが、これは140ccでも150ccでもかまいません。一定の値に決めることが必要です。これから作ろうとする表を使うとき、コーヒー1杯の量を決めた量Pにすることが前提になります。

 

 次に、フラスコに入れる初湯aです。私は20ccにしていますが15ccでもあるいは30ccでもかまいません。要は1つの値に決めて、抽出の際にかならず初湯をその値にすることが必要です。初湯aが少ないほどより濃いコーヒーになるわけですが空焚きをしてしまう危険が増えますのであまり少ないのは考えものです。

 

 フラスコの初湯は沸騰して一部が水蒸気になって失われてしまいます。その失われる量がbですが、これは抽出の過程で沸騰状態が続く時間の長さで変わってきますし、熱源の火力の強さにも影響されますので、bが一定になるように沸騰状態にある時間と熱源の火力を一定にしておきます。私の抽出の場合はbがほぼ5ccでした。

 

 抽出過程で1人前のコーヒー粉によって吸着される湯量Qを測定するにはつぎのようにします。まずコーヒー粉をロートに入れた状態で重さを計り、抽出が終了した直後のコーヒーかすとロートの重さを計り、増加した重さの値をコーヒー粉人数分の値nで割ったものが、Qになります。私の抽出の場合Qは10ccでした。

 

 コーヒー粉1人前を蒸らすのに必要な湯量Kを測定するにはつぎのようにします。まずコーヒー粉を蒸らすために必要な湯を十分うわまわる湯を計量して用意します。その湯をコーヒー粉にまんべんなく行き渡るように少しずつ注ぎます。ロートの外側からコーヒー粉の様子を見ますと濡れ具合がよくわかります。すべての粉が濡れた状態になるまで湯を注いで注湯を止め、残った湯量を計量し、もとの湯量から差し引きしますと蒸らしに必要とした湯量がわかります。必要とした湯量をコーヒー粉人数分の値nで割ったものが1人前のコーヒー粉の蒸らしに必要な湯量Kになります。私の場合Kは15ccでした。

 

上記の方法でP、Q、K、a、bが決まれば具体的に計算できます。たとえば、私の普段使用するコーヒー粉で抽出するケースではP=130、Q=10、a=20、b=5でしたので式4)はつぎのように書けます。

[4]    c=n(10+130/m)−15

さらにK=15ですので、式5)は、

[5]    c1=15n

したがって、式6)は次のようになります。

[6]       c2=n(130/m−5)−15

 

私のよく使うコーヒー粉の場合、表2によれば4人前以上で濃さ倍数3の濃縮コーヒーを作ることができます。たとえば5人前であれば濃さ倍数3.5の濃縮コーヒーができますのでより多くの注湯をすれば濃さ倍数3.5以下の濃縮コーヒーになります。式[5][6]を用いて、5人前のコーヒー粉で濃さ倍数3の濃縮コーヒーをつくるためにはn=5,m=3を代入して

              c1=15x5=75

              c2=5(130/5−5)−15=90

となりますので、蒸らし湯は75cc、抽出湯は90ccということになります。

このように計算すれば、表3のような最大濃さ倍数3の濃縮コーヒー注湯量表が作成できます。

同じようにして、濃さ倍数4の濃縮コーヒー注湯量はつぎの表4のようになります。