9.サイクロン濃縮コーヒーの特徴

ここで、サイクロン式抽出で作成する濃縮コーヒーの特徴について述べてみたいと思います。まずは長所をあげてみます。

     まろやかで飲みやすい

口あたりがまろやかですので、ブラックで飲めます。しぶみがなくすっきりしているのでつづけて何杯でも飲むことが出来ます。

     濃い

濃縮コーヒーをそのまま味わうと、苦さの強いしかしまろやかな味がします。(濃さ倍数3くらいのものはエスプレッソに似ているという人もいますが、エスプレッソの方が香りは高いように思います。エスプレッソのクレマにあたるものもありません)

濃いので、いろいろ応用ができます。(括弧内はエスプレッソの場合の名前)

アイスコーヒー 氷に熱い濃縮コーヒーを注ぐ

                          氷がとけた水で濃縮コーヒーがうすまり冷たくてちょうどよい

                          しぶみがなくすっきりしているのでミルクもシロップもいらない

 コーヒーゼリー ゼリーを湯で溶いたところに濃縮コーヒーを注ぐ

                             濃さ倍数から計算した湯量でちょうど良いぷるぷる具合にできる

 コーヒーアイスクリーム アイスクリームに濃縮コーヒーをかける(アフォガード)

                             あるいはアイスクリームに濃縮コーヒーを練り込む

  コーヒープリン 卵プリンでなくミルクプリンに濃縮コーヒーをかける

 泡ミルクコーヒー 泡立てミルクとの組合せ(カプチーノ、カフェラッテ)

 コーヒーマスカルポーネ マスカルポーネチーズに濃縮コーヒーをかける

これらは私の家族が日々楽しんでいるメニューですが、家庭でパンやお菓子を作るような方はパン生地やケーキの生地に濃縮コーヒーを練りこんでみるのもありかとおもいます。

     体積が小さい

濃いということの裏返しは体積が小さいということでもありますが、持ち運ぶのに便利です。

     劣化しにくい(1日〜数日もつ)

サイクロン式で作る濃縮コーヒーは劣化がゆるやかで、朝作ったものを夕方飲んでもあまり変化を感じません。酸化しやすい成分があまり抽出されていないということだろうと想像していますが化学的な理由は私自身まだよくわかっていません。(エスプレッソは劣化が早いようです)

体積が小さく濃くて長持ちするわけですから、私の友人は「モバイルコーヒー」と呼んだらどうかと言っています。

 

4倍濃さの濃縮コーヒーの場合2人前で65ccです。ちょうどよい容器がなかなかないのですが私は京都まるさわのさしみ醤油の容器(75cc)を愛用しています。もう少し多くもっていきたいときはPOKKAのアロマックス ブラック コーヒーの缶(170cc)を使います。これなら4倍濃さの濃縮コーヒーの場合5人前強入りますので、何人かと一緒に飲むのにも余裕の量です。家で作った濃縮コーヒーを小さめの容器に入れて、会社に持っていってきます。給茶機が置いてあるオフィスであれば紙コップもお湯もありますから濃縮コーヒーだけあればよいということになります。そうでない場合は近くのコンビニでミネラルウォーターを買ってそれで適当にうすめれば飲めます。サイクロンコーヒーはまろやかですから冷たい水でうすめたものはすっきりして飲み易いものです。モバイルコーヒーとしての利用はいろいろあります。公園のベンチで友達と会うとき、車に長距離乗るとき、出張するとき、さらに海外旅行にももって行きます。2〜3日経ってもインスタントコーヒーや缶コーヒーよりましです。私はまだやったことがないのですが、いつか山に登るときは濃縮コーヒーを持って行こうと思っています。山の中で冷たい水をくみ、遠くの山々を眺めながら飲むコーヒーはどんな気分だろうと今から楽しみにしています。

 

サイクロン式抽出濃縮コーヒーの課題と考えていることには、まず、

     湯でうすめるということへの抵抗感

があげられます。特にコーヒーを専業にされている方には湯でうすめるということに強い抵抗があるようで、「うすめるなんて」とはっきり言われたこともあります。一方、別の方からは松屋式ドリップがやはりお湯で2倍にうすめて飲む方法であり、濃くいれてうすめて飲むのがまんざらおかしいわけではないことを教わりました。これには大いに勇気つけられましたが、何故湯でうすめることにかくも強い抵抗があるのかの疑問は解決しませんでした。サイクロン式では浸漬している時間が少ないだけに成分が十分に溶け出さず、しかもうすめるのではあっさりした味にしかならないだろうという意見は理解できますが、ブラックで飲めないようなコーヒーがまろやかに飲めるならそれはそれで使い道があるのではないかと思っていました。ところが同じ方に存在を教えていただいた古い文献[15]のある個所(サイフォンの応用の抽出)に、

濃厚なコーヒーを抽出して湯でうすめる方法もあるが、オープンカウンターでは、

はたして客が素直に受けとってくれるか疑問である。

むしろ「うすめている」とみられるおそれがある

との記述がありすとんと胸に落ちるように納得しました。このこともあり本稿の題名は、「濃く淹れてうすめて飲む」ということを一般消費者やコーヒー業界の方にアピールする意味でつけました。

     香りや深い味の成分を出し切れない

現在のところサイクロン式抽出は、まろやかで飲みやすい味になるのは間違いないのですが、深い味の成分までは出し切れていないように思います。

ドリップ式抽出においては蒸らしのあと数分間コーヒー粉は湯に漬かった状態にあり、これによって様々な成分が溶け出しているものと想像しますが、サイクロン式の現在の手順では、蒸らしを終えて注湯を始めたところから吸引が始まりますので、湯が漬かった状態を長く持続することができません。短時間でも溶け出しやすいように粉砕度も細かくしていますがまだ不十分で、このあたりにまだ改善すべき課題があると認識しています。

     抽出手順がめんどう

コーヒーを飲むのは好きでも自分でドリップまではしないという人が大半ですからサイクロン式抽出を自分でやってみようという人は少ないのが現実です。サイフォンを使っている人であればあまり抵抗なくできると思いますが、やはりコーヒーメーカーに近いものでなくては一般に普及するのは難しいでしょう。

そこで、サイクロン式コーヒーメーカーの製作を試みました。電気式のサイフォン器具をベースに、秋葉原の部品店やホームセンター、100円ショップなどで材料を買って少しづつ作りました。全自動とまではいきませんが、コーヒー粉と湯をセットしてヒーターに通電し水蒸気が出たところでボタンを押せばあとは自動で動いてサイクロンコーヒーができます。(水蒸気を温度センサーで感知してスイッチが入るようにすれば全自動になるのですが、そこは未完です)この製作には半年以上かかりずいぶん苦労しましたので完成したときは感激しました。機械が自動的にコーヒーを淹れているところを見ているとそれはそれでなかなか楽しいものです。全体図と写真は付録をごらんください。

     サイフォンでは不便

サイフォンを使ってサイクロン式抽出が可能であることはすでに説明しましたが、蒸らしの間水蒸気を逃がすためにパッキンとフラスコの間にフォーク等で隙間をつくってやらなければいけません。これが何とかならないものかとパッキンに工夫をしてみました。それは状態1と状態2と2つの状態をもつようなものです。状態1においてはすきまがあり水蒸気がそのすきまを通して外部に出ます。状態2になると密閉される通常のパッキンになるようなものです。

写真はその実物ですが、大変うまくいきます。

現在販売されているサイフォンのパッキンを少し改良するだけでサイクロン抽出器としても使えるようになります。