星界の紋章
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星界の紋章 |
| ハヤカワJA |
| 森岡浩之 |
| \500程度(紋章1-3・戦旗1-2) |
というわけで、遅くなりましたが更新です。今回は星界の紋章であります。
珍しくSFなんですが。最近元気のないSFにおいて、かなり気をはいている、期待の作品です。手法は正当SFというよりは、スペオペとかヒロイックに通じる物がありますが、これはこれでなかなかいい雰囲気です。
帝国・反帝国という単純な図式を基調にしていますが、「星界の紋章」ではその帝国の紹介と言ってもいいお話ですね。「星界の戦旗」の方は図式が全面に出てくるお話です。
で、ここでは「紋章」の方を紹介します。
時代は人類が全く新しい航行方法により宇宙に飛び出して後、という設定です。宇宙の各所に散らばった人類は、それぞれが星や星系単位で国家を作り生活しています。国家はやがて連合して行くわけですが、ここでちょっと人類とは違う人種が出てくることになります。それが、遺伝子操作の結果、宇宙生活に特化した種族であるアーヴです。彼らはその類い希な特徴と、持って生まれた気質で次々と人類社会を併合、ついには「アーヴによる人類帝国」を建国し、宇宙の約半分を支配するまでになります。
アーヴ社会は皇帝以下、貴族制の政治体系を引いています。アーヴの身分は、貴族制か、そうでなければ軍の地位かどちらかで語られるわけですが、この辺は帝政のヨーロッパに通じる物があります。
そんな、現代の人間にはちょっと分かりづらい政治体系や、軍の在り方、置かれている状況等を紹介してくれるのが、主人公の「ジント」君です。彼は、生まれたときはいわゆる普通の地上人で、父親が星系首相をつとめてる意外は特に変哲もない少年なのですが、ひょんなことから「アーヴ」の「貴族」になってしまうのですね。それも「伯爵」に。貴族、それも爵位を持つと言うのは思った通り大変なことで、地上人がいきなり「伯爵」ということはあまり有りません。そんな得意な地位に置かれてしまった彼の葛藤や驚きやそう言った戸惑いが非常に素直に書かれているのが、私は好きなんですね。
そんな彼の目から、政治や軍やそういった日常的な情報がどんどん語られていき、読者は帝国を案内されている気分になれる、という作品です。
このお話にはヒロインとして、アーヴの皇族である「ラフィール」という少女が彼のお目付役的に出てきます。こちらのファンが多いような気がするのは気のせいではないでしょうけど(笑)、ポイントとなるキーパーソンですね。地上のことしか知らず、アーヴ貴族としての振る舞い方すら分からない、「ジント」と、アーヴの皇族でありアーヴ社会しか知らない、「ラフィール」。この二人のちょっとズレた会話が魅力とも言えるんじゃないでしょうか。
このお話は、いかにもSFらしい、「艦隊戦」、それも宇宙で(笑)とか、独特の物理的法則等が出てきて、モノホンSF好きにもかなりイケてる作品に仕上がっています。この艦隊戦ですが、非常にかっこいいですね。美化されすぎ、とも思えますが、そのへんはお話ですから(笑)、目をつぶって、楽しんじゃいましょう。アーヴの戦い方ってものすごいっすよ、本当に。そんなわけで、オススメです。一回読んで損はないと思います。
尚、バンダイビジュアルより、LDとDVDでアニメにもなっています。これがまたアツイんですよ。特に前半戦が(笑)。オススメです。
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