4.3 砲兵 − 戦場の王様

 現代の戦場においてもっともたくさんの兵士を傷つけるのは歩兵のライフルでもなく、戦車の恐ろしげな大砲でもなく、戦場の後方から間接砲撃で絶え間なく鉄の雨を降らす砲兵です。よって彼らは戦場の王様と呼ばれます。しかしSP2ではその効果は大きく過小評価されています。一部のクラスター弾を除いて一発の砲弾が影響を及ぼす範囲は一ヘクスに限られるため砲弾の危険半径は最大でも25m(一ヘクスは50m)に押さえられています。さらに間接砲撃は自分のターンの最後に行われるので制圧されたはずの敵ユニットは敵ターン中に回復し、見掛け上の効果はさらに減少してしまいます。
 砲兵を効果的に使用するための鍵は数です。もし特定の目標が攻撃に値するのであればそれは中隊単位(砲4門から6門)で攻撃するべきです。目標の周囲1、2ヘクスに集中させましょう。そしてもう一つ大事なのが目標の選択です。事前に設定された目標を狙うのでない限り間接砲撃をプロットしてから実際に砲撃が行われるまでには時間差があります。目標の移動を考慮に入れたプロットが肝要になります。この時間差は専門の砲兵観測車輌またはA0ユニットを用いてプロットを行う場合にもっとも短くなります。
 SP2における砲兵の特殊性として、地形を変えることができるほとんど唯一のユニットであることがあります。120mm以上の榴弾砲は目標となったヘクスに穴を掘ります。これはユニットの移動を困難にする他、歩兵ユニットにとっては僅かながらも林のような遮蔽効果をもたらしてくれるようです。また120mm以上の榴弾砲は命中すると木造の橋梁をその上に存在するユニットごと破壊します。石造りの橋梁を破壊するには160mm以上の口径が必要になります。

4.3.1 盤外砲兵

 1ユニットが三門から四門の兵器及び操作員をあらわし、マップ上には配置されません。基本的に中口径から大口径の榴弾砲、カノン砲の砲中隊をあらわしたユニットです。基本的にAssault/Defendシナリオでしか使用できず、中でもロケット砲兵はAssaultシナリオにしか登場しません。一回の射撃で3乃至4発がまとめて発射されるためその破壊力はかなりのものです。ただし、コストの方もそれに比例しているので盤上砲兵と比べてお得かと言うとそうとも限りませんが。
 特殊な弾薬としてクラスター弾や地雷散布弾を使用できるものもあります。クラスター弾は歩兵、戦車を問わず効果的で地面に穴を掘らないので進撃路を制圧するのに便利ですが、ターン当たりの発射回数の関係でMLRSやUragan等のロケット砲兵のものを除いて余りコストパフォーマンスが良いとは言えません。地雷散布弾はFASCAM(FAmily of SCatterble Artillary Mineの略だそうです)という名前で登場します。弾数が少ないのが玉に傷ですが目標ヘクスに地雷原を構築してくれる上にそこにいるユニットに対してはMLRSよりも効果的なクラスター弾としても働いてくれるという便利なものです。
砲撃目標を指示されていないユニットは敵の盤外砲兵ユニットに対して自動的に対砲兵砲撃を行うことがあり、命中すれば目標となったユニットは数ターン、ひどいときはゲーム中射撃不能になります。(移動してるんでしょう)

4.3.2 盤上砲兵

 盤外砲兵と異なりマップ上に配置される砲兵ユニットは一ユニットで一門の兵器及びその操作員をあらわしています。こちらはどちらかというと中口径から小口径の兵器を中心としており、小は60mmの迫撃砲から大は150mmクラスの榴弾砲までが主なところですが、これ以上の大口径砲も自走砲の形で登場します。弾薬数が不足気味のユニットもありますが弾薬補給車と組み合わせることでかなり解消できます。盤外砲兵と異なり自動的に対砲兵砲撃の対象になることはありませんが、盤上砲兵の位置は砲撃を行っているうちにそのヘクスに煙が発生することで敵に知れてしまいます。そうなると後は通常の間接砲撃や航空爆撃の対象になります。
 自走榴弾砲の多くは若干の装甲を備えており、移動能力もあることから対砲兵砲撃に対して有利そうに思われるかもしれませんがそのコストから数を揃えづらく、あまりお勧めできるものではありません。マップ上に配置された砲兵部隊への対砲兵砲撃による損害を気にするよりは、対砲兵砲撃を行っている敵砲兵ユニットがその間前線の味方ユニットを攻撃できないと評価するべきです。既に述べたとおり砲兵は質より量の武器であり、大体120mmクラスであれば十分な破壊力を持っています。特に目的が無ければ中口径の牽引式のユニットを大量運用した方が効果的です。また自走迫撃砲は煙幕弾を持たないため、なおのこと意味がなくなっています。さらにプログラムのバグによりPC側は自走迫撃砲を用いて間接射撃を行おうとはしません。恐らくゲーム中に登場する中でもっとも使えないユニットとなっています。(--;
 60mmクラスの小口径迫撃砲は射程の短さもあって正直使い勝手が悪いです。81mmクラスともなると4門程まとめて運用すると歩兵部隊を制圧するのには十分使えます。序盤は煙幕を張るのに使用し、後半はPCの管理下に置いておくと自動的に細々した敗残兵を目標にしてくれるので手間が省けます。たまに妙な目標選択をしてくれたりしますが、PC管理下にある限り発射までの待ちターンが要らない等のメリットもあります。120mmクラスは大体105mm榴弾砲と同等と考えられます。(迫撃砲は攻撃力としては大体一クラス下の榴弾砲と同じと考えておけばよいでしょう)ゲーム中では古い107mmクラスと合わせてやや中途半端な兵器で、煙幕張りと歩兵相手の嫌がらせ程度にしか使えませんし、それだけに使うには81mmクラスのコストパフォーマンスに負けます。
 最後にゲームプレイそのものには直接関係しませんが、キャンペーンにおける盤上砲兵ユニットはそのコストの低さから将来別のユニットへの改編を前提としたユニット数稼ぎに使用できます。自走迫撃砲は戦車ユニットに改編できるユニットの中では恐らくもっとも安価ですし、中口径の自走榴弾砲も安価な上に通常の盤上砲兵としても使えるので部隊編成の柔軟性が増します。榴弾砲や地対空ミサイルが欲しい場合には迫撃砲を使いましょう。

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