1999年10月17日
2000年03月14日じゃっかん修正
現在のベトナム中部を中心に、チャム民族による王国(チャンパとよばれています)が存在していました。チャンパ遺跡といわれているものは、一言でいってしまうならば、チャンパ王国がたてた宗教的な意味をもつ祭殿なのです。
この本はチャンパ遺跡をまるまる一冊とりあつかった本です。
冒頭で重枝さんは、はじめてのミ(ー)ソン訪問にからめて、キィさんとの出会いをかいています。
ときは1989年、ベトナム史研究の権威からは「かんたんには行けないだろう」と言われていたそうで、『本当に行けるのか、当日になっても心配』だったとのべています。遺跡に到達すると、写真撮影こそが最重要事項のようにおもえてしまい、キィさんの話をまじめに聞かず、あとで後悔するはめになったと述懐しています。
序章から第2章は、チャンパ王国の歴史・遺跡の分類・建築の特徴などをしるしています。建築の特徴として一番重要なことは、レンガをすこしずつずらしながらつみかさねていく技法がとられていることなのだそうです。これは迫り出し(せりだし)構造といわれています。
その他に、
第3章は、代表的な遺跡についての解説です。ミソン遺跡群、クァンナム遺跡群、ビンディン遺跡群、ポー・ナガル遺跡群、ポー・ハイ遺跡群、衰亡期の遺跡群に分類し、とりあげています。
遺跡の配置図と写真を見くらべながら、じっくりと、すこしずつよみすすめていく。というような、時間のかかる読み方が合うようです。
王国がほろんでしまってから何世紀もたっています。当時のチャム民族の生活や宗教の習慣は、ほとんど失われてしまいました。それだけに、遺跡を手がかりにさまざまなことを解明していく過程には、未知の世界がひろがっているらしい……。
個人的なことをいわせてもらいます。とくに遺跡マニアでもなく、また、行ってみたこともないせいか、遺跡の話がえんえんとつづいて終わりがないような錯覚におそわれて、よむのを一時中断しまいました。
遺跡を見にいったあとでまたよんでみると、理解がふかまるのではないかとおもいます。