サイクロン式はおいしいコーヒーが短時間でできます。その理由は以下のように考えます。
松屋式コーヒーのいれ方・プロ用
につぎの記述があります。
うまみ
高い濃度の水溶液(ものをとかす力がよわい)にもとける。
全体としてとけやすい。
低温でもとける。
吸着されにくい。
しぶみ
低い濃度の水溶液(ものをとかす力がつよい)にしかとけない
全体としてとけにくい
低温でとけにくい
吸着されやすい
コーヒーがサーバーに人数分の約半分まで出たらストップです。
この位でコーヒーのおいしい成分が出つくします。
あとに出てくるのは、渋みや、いやな苦味などです
以上を前提知識として考察してみますと、
サイクロン式で抽出した場合
まず蒸らし
・ 細かく挽いた粉を使います。
細かく挽いた粉は表面積が多いのですぐに成分が溶け出し、
濃度が高いのでうまみだけが短時間のうちに沢山溶け出します。
数十秒の蒸らし時間でも
つぎに注湯
・ 抽出のためにお湯を継ぎ足したときは
蒸らしのときより濃度が下がりしぶみが出る状態になりますが、
お湯も1/4程度しか注ぎませんし、
しかも真空吸引でいっきに(数秒からせいぜい10秒以内)抽出してしまうので、
しぶみがでてくる時間がわずかありません。
これがサイクロン式のコーヒーがうまい理由と考えられます。
これで抽出されたコーヒー液の量は、ちょうど人数分の1/2です。
これは松屋式で抽出した場合と偶然に同じ量になりますが、
濃いのでお湯で倍にすれば普通の濃さのものになります。
実際ためしに注湯量を多くして、できあがりのコーヒー液が人数分になるくらいにしてみますと
しぶみが混じってかえっておいしくなくなってしまいます。
コーヒーを時間をかけてゆったりとだすのはそれはそれでよい人も沢山いると思いますが、短時間でおいしいコーヒーができるほうがよい人もいます。このような人にはサイクロン式はお勧めです。
[1] 「田口護のコーヒー大全」、日本放送出版協会
抽出にブレが少ない
もうひとつ大切な特徴は、抽出にブレが少ないということです。
サイクロン式なら同じ豆で何度でもほとんど同じ味をだすことができます。
注湯時間が短いことに理由があると思われます。
時間が長いほど変動要素が多く、時間が短いほど変動要素は少ないからです。