文藝春秋社さん、プライドはあるの?――補足

2001年11月05日


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「クレア」特集中の「コロニアル」は建築用語か?!!

はじめに

 文藝春秋社さん、プライドはあるの? はお読みになりましたか。まだお読みでない方は、はじめにそちらの方をご覧になってください。


インテリア関係の仕事をしている(という)編集者からメールがきた

 2001年7月初旬、インテリア(関連でお仕事をされているという)編集者の方(t_naokaiさんと名乗ってらっしゃいました)から、1通のメールをいただきました。そのメールの中には、おおむね、次のようなことが書かれていました。

というご意見をいただきました。

 ご意見ありがとうございました。とくに「文藝春秋」と「クレア」への指摘を納得していただけたことは、とてもありがたく感じています。


ご指摘を受けての補足

 ご指摘の通り、建築・インテリア用語として「コロニアル様式」ということばがあります。ここで「コロニアル様式」について触れていなかったのは、私の至らなかった点だと思います(注)


ご意見への疑問

 ご意見いただいておきながらこういうことを述べてほんとうにもうしわけなく感じるのですが、t_naokaiさんは大切な点を誤解されているのではないかとおもいます。

 「クレア」特集中の「コロニアル」は、建築・インテリア用語ではないでしょう。「コロニアル様式」ととれなくもないところもあるのですが、全般的にみるとちがいます。

「クレア」当該号と「文藝春秋」の記事はご覧になったのでしょうか。すでに目を通したということでしたら、ほんの些細なことですけれど、「コロニアル様式」という意味から『コロニアルな避暑地』というフレーズをどのように解釈されるのですか。解釈するのはむずかしくないですか。

 見方を変えます。
 雑誌をよく読む複数の知人によりますと、「女性誌で建築・インテリアとしての『コロニアル様式』を取りあげることもある(かもしれない)だろうけれど、アジアへの旅がテーマのときはどうだろうか」と疑問を呈していました。「リゾート特集と称しては安易に『コロニアル』と名付けてしまう風潮があるように思われる」とのことです。私も同感です。いかがでしょうか。
(後半の疑問については時間をかけられさえすればある程度のことは私の方でもわかるのですが、様々な雑誌をきちんと調べる時間と労力の余裕がありませんでした。)


お返事はいただけませんでした

 t_naokaiさんには少なくとも3度はメールを返送し、かつ、ホームページ上で3週間ほど「ご連絡いただきたいのですが」と書いたにも関わらず、今のところ(2001年11月05日現在)ご返答はいただいていません。建築・インテリア用語としての「コロニアル様式」から「クレア」中の『コロニアルな避暑地』というフレーズをどのように解釈されるのか、手始めにそういうところからお聞きしたかったのですが、まったくお返事いただけないようです。残念です。

 くりかえしになりますが、「クレア」特集中の「コロニアル」ということばは、「コロニアル様式」という建築・インテリア用語の省略形・短縮形ではありません(ただし、そういう使い方をしている箇所もあるだろうということまでは否定しません)。一言で述べますと、近代の歴史をよく知らない読者(とくに若い女の読者)を相手にきわめて安易な使い方をしているだけのことでしょう。t_naokaiさんはこのことを誤解されていたのではないですか(少なくとも、私はそう理解しています)。


 これ以降、誤解されていたとして、話を進めます。

 なぜ誤解されたのでしょうか。いくつか考えられることを書き出してみます。

 第一に、「クレア」当該号と「文藝春秋」の記事をご自分の目できちんとご覧になってはいなかったのではないかと予想しています。第二に、ご自身がインテリア関係に関わっているがためにかえって見誤ってしまったのではないかと推測しています。もう一つ考えられるのは、お仕事でおつかれのとき、もしくは、おからだの調子がよろしくないときに、たまたまここが目に入ってしまい(頭に血がのぼって)メールしてしまったのではないか、ということです(書き方には気をつけているつもりですが、いたらないもので、もし上の指摘が当たっていたのでしたら、大変すみませんでした)。

 ついでに申しますと、メール後段の言葉狩りうんぬんというご批判は、そもそもが誤解に基づくものである以上、なかったことになります。


参考資料

 参考資料をあげておきます。今年(2001年)の3月にまたもや発行された「クレア」のベトナム特集号(←おそらくまちがえていないとおもいます。まちがえていたら訂正します)に対して、斎藤美奈子さんが書いていることを引用します。

 ベトナム特集にいたっては、巻頭言がこれである。
<ベトナムへ行こう。(略)もちろんアジアン雑貨やオーダーメード、美食にコロニアル・ホテルも完全ガイド。さあBon Voyage!>(『クレア・トラベラー「極上保存版 ベトナムの誘惑」』)

 Bon Voyageって、あんた、そんな旧宗主国のことばを……。オリエンタリズムどころか露骨なコロニアリズムが跋扈する女性誌。彼女らにとってコロニアルとは「東西文化の美しい融合」の別名なのだ。

(p206-207)

 余談ですが、「どうする『かわいい帝国主義』」は、ベトナム(とくに観光)に興味を持っている人にはおすすめの一文です。本屋で立ち読みで読めるとおもいます(教科書問題とは関係なく、この文章は一読する価値があります)。


(注)

 t_naokaiさんが述べられているように明快に言い切れるものかどうか、わからなかったところもありました。

 建築・インテリア用語として使われる「コロニアル(様式)」は、「植民地的な」という用語の持ついまわしいニュアンスから解放された中立的な用語である(←くりかえしになりますが、メールの文章通りではなく、ふるやが要約・抜粋したものです)。

とかっこよく言い切れるかどうかは、(今まで調べたかぎりでは)よくわかりませんでした。ただし、中立的な用法としてこの用語をつかっていこうという傾向ははっきりしているようです。

 私の能力ではよくわからないし調べきれないので、このことは棚上げしてしまいます。もしご存知の方、ご意見ある方、いらっしゃいましたら、お知らせください。


このページで言及している資料

斎藤美奈子「どうする『かわいい帝国主義』」、p206-207
小森陽一・坂本義和・安丸良夫『歴史教科書 何が問題か―徹底検証Q&A』岩波書店 2001年


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